
一瞬を捉えて、見たことのない表情を表現してくれます。
「奇跡の半目」
一番最初の撮影の時、オフショルダーのゆるいTシャツを着て、寝そべって写真を撮ってもらった。写真の中の私はまばたきの途中だったのか目が半開きで、普通のスナップだと実によろしくない、油断しきったような表情であったと思う。
しかしその写真は、朝の木漏れ日の中、鳥の囀りで目覚めたような、あるいは穏やかな土曜日、満ち足りた恋人との午睡のような。眠たげな目に少し唇をぼんやり開き、まどろみの表情を一瞬に捉えて一枚の作品になっていた。
私はそれを「奇跡の半目」と呼び、他のどの笑顔の決まった写真よりも印象に残った。
半目の私はこんな表情をしているか。
もちろん現実に見ることはできない。メイクと照明、写真技術あっての一枚である。その技術を確実に作品にする職人が、塚本ダイというフォトグラファーである。
それからダイさんにはたくさん撮ってもらった。作品撮りのコルセットとリンゴは同人誌の表紙に採用させてもらった。蓄音機と着物の写真は名刺にしてくれている。
結婚して出産して私の顔も体型もどんどん変わってゆくが、その変化さえもダイさんは作品に取り込む。そして奇跡の一枚を確実にくれる。
モデルをしていて自信を失わなかったのは、ダイさんの写真のおかげである。歳をとってなお、努力を続けようと思えるのは、ダイさんとの撮影があるからである。
今の自分を見つめ、そして前を向く。向上する。
ダイさんの写真にはそんな効能があると思っている。














